化粧品と動物実験の世界のルール
EU・米国・日本の違い
「動物実験をしていません」という言葉を、製品やウェブサイトで見かけることがあります。ただ、化粧品の動物実験の扱いは国・地域によって大きく異なり、法律で禁止している地域もあれば、表示の言葉に法的な定義がない地域もあります。EU、米国、日本の公的機関・業界団体の情報から整理します。
EU:実験の禁止と販売の禁止の二段構え
欧州委員会によると、EUでは2004年9月11日に完成品の動物実験が、2009年3月11日に成分(および成分の組み合わせ)の動物実験が禁止されました。あわせて、動物実験を経た製品・成分をEU市場で販売することを禁じる「販売禁止」も段階的に導入され、2009年3月11日にほとんどの試験項目で、残っていた反復投与毒性・生殖毒性・トキシコキネティクスの3分野についても2013年3月11日から適用されています。現行の化粧品規則(EC)No 1223/2009では第18条に定められ、同規則の要件を満たす目的で行われた動物実験が対象です。
EUのルールは「域内で実験しない」だけでなく「実験を経たものを売らない」という二段構えです。一方で米国のように、表示の言葉そのものに法的な定義がない地域もあり、同じ「動物実験なし」という表現でも、背景にある制度は地域ごとに異なります。
米国:法律は動物実験を求めず、表示語に定義なし
米国食品医薬品局(FDA)は、FD&C法は化粧品の安全性試験に動物の使用を特に求めておらず、化粧品を販売前承認の対象にもしていないと説明しています。FDAは代替法の開発と活用を支持する立場で、1997年には他の13の連邦機関とともに、代替試験法の検証などを調整する組織(ICCVAM)を設けました。また「クルエルティフリー」「動物実験をしていません」といった表示について、FDAは法的な定義がないと明記しています。2022年成立のMoCRAも、安全性の裏付けに動物実験を義務づけてはいません。
日本:代替法のガイダンス整備が進む
日本では、EUのような法律による販売禁止は設けられておらず、動物を用いない試験法(代替法)の活用を進める取り組みが中心です。日本化粧品工業会は1991年に「動物実験代替専門委員会」を設置し、代替法の開発や普及を支えてきました。厚生労働省からは、医薬部外品・化粧品の安全性評価に代替法を用いる際の考え方を示すガイダンスが試験法ごとに出されており、同工業会の整理では光毒性(2012年)、眼刺激性(2014年)、皮膚刺激性(2021年)、皮膚感作性の組み合わせ評価(2025年)などが並びます。2022年には、動物を用いない次世代リスク評価(NGRA)の作業部会も同工業会に設けられました。
化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の区分については、化粧品と薬用化粧品の違いで紹介しています。
参考:欧州委員会、EU官報(規則(EC) No 1223/2009)、米国食品医薬品局(FDA)、厚生労働省、日本化粧品工業会
——Value Village編集部