ひとつの名前に、ふたつの産地|Value Village

VILLAGE通信 vol.3 岩手県
南部鉄器、盛岡と水沢というふたつの源流

南部鉄器、と聞いて思い浮かぶのは鉄瓶でしょうか。それとも、ずっしりした鍋やフライパンでしょうか。どちらも正解です。南部鉄器は、性格の違うふたつの産地からできているからです。

盛岡と水沢

東北経済産業局や岩手県の資料によれば、南部鉄器は次のふたつの流れから成り立っています。

  • 盛岡──およそ400年前、盛岡藩主・南部利直が京都から釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まり。茶の湯釜と鉄瓶を中心に発達しました。
  • 水沢(旧水沢市、現・奥州市)──歴史はさらに古く、およそ950年前、藤原清衡が鑽物師を招いたことに始まると伝えられます。伊達藩領として、日用品の鑽物を中心に発達しました。

片方は茶席の道具から、もう片方は台所の道具から。出発点が違えば、つくられるものの気質も違います。

数字で見る、いまの産地

岩手県南部鉄器協同組合連合会の加盟業者で見ると、事業所は74、従事者は推計730名、年間生産額はおよそ92億円と報告されています。1975年(昭和50年)2月17日に、国の伝統的工芸品に指定されました。

400年と950年。ふたつの時間軸を持つ産地が、ひとつの名前を共有している。南部鉄器という言葉の重さは、たぶんそこにあります。

前回は青森県の津軽塗でした。次回は宮城県、こけしの話をします。

参考:東北経済産業局、岩手県、岩手県南部鉄器協同組合連合会

——Value Village編集部