四十数回塗る、という流儀|Value Village

VILLAGE通信 vol.2 青森県
津軽塗、「馬鹿塗り」と呼ばれた四十数回

青森県の津軽塗には、地元で呼ばれてきた別名があります。「津軽の馬鹿塗り」。ほめ言葉です。

青森県の資料によれば、津軽塗の始まりはおよそ300年前。津軽藩四代藩主・信政の時代に、藩お抱えの塗師・池田源兵衛によって始められたと伝えられています。1975年(昭和50年)に国の伝統的工芸品に指定され、2017年(平成29年)には重要無形文化財に指定されました。青森県として初めての指定でした。

なぜ「馬鹿塗り」なのか

土台となる木地には、青森県特産のヒバが使われます。そこから先が長い。研磨と塗りをくりかえして下地をつくり、津軽塗独特の「シカケ」と「サイシキ」を施して仕上げる。その工程は四十数回、日数にして二か月余り。あまりに手間をかけるので「馬鹿丁寧」と言われ、それがそのまま異名になりました。

四つの技法

  • 唐塗(からぬり)──斑点状の模様を重ねる、もっともよく知られた技法。
  • 七々子塗(ななこぬり)──小さな輪が魚卵のように連なる。
  • 錦塗(にしきぬり)──七々子塗を土台に、さらに文様を描き込む。
  • 紋紗塗(もんしゃぬり)──黒漆の地に、模様を沈めるように表す。

同じ「津軽塗」という名前の下に、四つのまったく違う顔がある。産地の名前でひとくくりにされがちな工芸品も、近づいてみると必ず枝分かれしています。

前回は北海道の二風谷イタと二風谷アットゥㇱを訪ねました。次回は岩手県、南部鉄器です。

参考:青森県、東北経済産業局、青森県津軽塗漆器協同組合連合会

——Value Village編集部