VILLAGE通信 vol.14 香川県|年間8,300万本、全国の9割

【VILLAGE通信 vol.14】年間8,300万本、全国の9割
香川県

鳥取から海を渡って四国へ。今回は、数字が圧倒的な町の話です。

年間8,300万本

丸亀うちわの年間生産量は、約8,300万本。全国シェア90%です。

日本でつくられるうちわの、十本のうち九本がこの地域から出ています。

国の伝統的工芸品に指定されたのは 1997年5月14日。意外と新しいと思われるかもしれませんが、歴史は江戸初期まで遡ります。

共道の、土産から始まった

起源は、金刀比羅宮の参拝客向けの土産でした。

丸のなかに金の印を入れた赤いうちわ。こんぴらさん参りの証として、人々はこれを持ち帰りました。

参拝客が多いということは、黙っていても市場があるということです。産地は、そこに育ちました。

下級武士の内職として

ここからがこの町の特異なところです。

丸亀藩が、この仕事を下級武士の内職として奨励しました。

藩が公に推奨したということは、当時の武士の暮らしがそれを必要としていたということです。そして、これが産地を一気に拡げました。

この連載で何度も見てきたとおり、伝統工芸の多くは「実利」から始まっています。熊野筆は出稼ぎ、別府竹細工は湯治客の台所用品。丸亀うちわは、武士の内職でした。

今も、手で仕上げています

8,300万本。この規模なら、機械化されていて当然に思えます。

でも、使うのは今も 竹、木綿糸、和紙 という天然素材で、一本一本を職人が手で仕上げています。

うちわは安い道具です。安いものを、手で、大量につくる。これを成立させていること自体が、ひとつの技術です。

安いものを、ちゃんとつくる

高価な一点をつくることは、ある意味で分かりやすい。手間をかけた分だけ価格を上げられます。

難しいのは、安いものの質を保つことです。価格に上限があるなかで、素材を落とさず、手仕上げをやめない。

丸亀の9割という数字は、その結果です。

次号は、ひとつの色が三つの工芸を生んだ県・徳島へ。

参考:香川県庁「香川の伝統工芸」「かがわもの・丸亀うちわ」、丸亀市「うちわ」「うちわ作りの工程」、伝統的工芸品産業振興協会

——Value Village編集部