VILLAGE通信 vol.14 神奈川県
箱根寄木細工、木の色だけで描く幾何学
関東編の7回目、最終回は神奈川県です。神奈川県には鎌倉彫や小田原漆器などの伝統的工芸品がありますが、今回は箱根の山で育まれた「箱根寄木細工」を訪ねます。
木の色だけで描く
箱根寄木細工の最大の特徴は、色を塗らないことです。白、黄、茶、黒──さまざまな色をもつ木を組み合わせ、木そのものの色と木目だけで精緻な幾何学文様を表します。箱根山系は日本でも有数の樹種の豊かな地域とされ、その多様な木々が、この技を支えてきました。たとえば白にはミズキ、黄にはニガキ、黒には長い年月土に埋もれて色の変わった神代木(じんだいぎ)などが使われます。
江戸後期、畑宿から
箱根寄木細工は、江戸時代後期、東海道の箱根旧街道沿いにあった畑宿で始まったとされます。街道を行き交う旅人の土産物として広まりました。1984年(昭和59年)5月には、小田原・箱根地方に伝わる木工品として、国の伝統的工芸品に指定されています。
要点
・塗料を使わず、木そのものの色と木目で幾何学文様を表す
・箱根山系の豊かな樹種が技を支えてきた
・江戸時代後期、箱根旧街道の畑宿で始まったとされる
・1984年(昭和59年)5月、国の伝統的工芸品に指定
「ヅク」と「ムク」
寄木細工では、さまざまな木を寄せ合わせて文様の断面をもつ「種木」をつくります。これを大きな鉔(かんな)で薄く削り出し、箱などの表面に貼る技法を「ヅク」、種木そのものを削ってお盆やお椀などの形にする技法を「ムク」と呼びます。開け方に手順のある「秘密箱」も、箱根寄木細工の代表的な品として知られています。
前回は東京都の江戸切子を訪ねました。VILLAGE通信 vol.13 東京都はこちら。神奈川県の見どころは47都道府県ガイドの神奈川県編からどうぞ。次回からは中部編、新潟県を訪ねます。
参考:国土交通省関東運輸局、箱根町、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部