VILLAGE通信 vol.10 群馬県
桐生織、七つの技法を受け継ぐ織都
関東編の3回目は群馬県です。群馬には伊勢崎絣と桐生織、二つの国の伝統的工芸品がありますが、今回は「西の西陣、東の桐生」とうたわれた織物の町、桐生の桐生織を取り上げます。
あしぎぬから旗絹へ、1300年の記録
桐生織物記念館によると、『続日本紀』には714年(和鎅7年)に上毛野(現在の群馬県)が「あしぎぬ」を朝廷に献上した記録があります。桐生には、都から嫁いだ白瀧姫が機織りを伝えたという伝説も残ります。
1600年(慶長5年)の関ヶ原の合戦では、桐生領54か村から徳川方へ旗絹2,410疋が献上されたと伝えられ、これが桐生の名を高めました。1738年(元文3年)には京都・西陣の織物師から高機の技術が伝わり、高度な紋織物が織れるようになります。明治期には1879年(明治12年)に輸出向けの羽二重が創製されるなど、海外市場にも目を向けました。戦後の1948年(昭和23年)には、織機復元計画で3,000台余りが復元されています。
伝統的工芸品に指定された七つの技法
桐生織は1977年(昭和52年)10月に国の伝統的工芸品に指定されました。桐生市が紹介する指定の技法は、次の七つです。
- お召織:強い據りをかけた糸で織り、布面に細かな凹凸(しぼ)を出す
- 緯錦織:色の異なる緯糸で文様を織り出す
- 経錦織:色の異なる経糸で文様を織り出す
- 風通織:表裏二重の組織で、表と裏で色が反転した文様になる
- 浮経織:経糸を浮かせて文様を表す
- 経絣紋織:絣染めした経糸と紋織を組み合わせる
- 綟り織(もじり織):経糸をからませて透け感のある布にする
一つの産地がこれだけ多様な組織の織物を手がけてきたことが、桐生織の大きな特色です。帯や着尺だけでなく、ネクタイやストールなど現代の暮らしに合わせた製品にも技法が生かされています。
要点
・714年に上毛野が「あしぎぬ」を献上した記録が残る
・1600年の関ヶ原の合戦で旗絹2,410疋を献上したと伝わる
・1738年に西陣から高機の技術が伝わり、紋織物の産地に
・1977年10月に七つの技法が国の伝統的工芸品に指定
前回は栃木県の益子焼を訪ねました。VILLAGE通信 vol.9 栃木県はこちら。
参考:桐生市、桐生織物記念館、桐生織物協同組合、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部