全国の九割を、この町がつくる|Value Village

VILLAGE通信 vol.6 山形県
天童将棋駒、全国の約9割をつくる町

将棋の駒を手に取ったことがあれば、その多くはおそらく山形県天童市でつくられたものです。

天童市の公表資料によれば、天童市は将棋駒の全国生産の約9割以上を占めています。ひとつの町が、ひとつの道具の国内生産をほぼ引き受けている。工芸の世界でも、これはかなり極端な集中です。

始まりは、内職だった

その始まりは華やかではありません。江戸時代末期、天童を治めていた織田藩が、財政に苦しむ藩士の救済策として将棋駒づくりの内職を奨励した──これが起点だと伝えられています。生活のために始めた手仕事が、やがて全国一の産地になりました。1996年(平成8年)には、国の伝統的工芸品に指定されています。

書く、彫る、盛る

駒には、仕上げの違いによる段階があります。筆で直接書く「書き駒」、字を彫る「彫り駒」、彫ったところに漆を埋めて平らにする「彫り埋め駒」、さらに漆を盛り上げる「盛り上げ駒」。上に行くほど手間が増えます。

同じ「駒」という道具が、仕上げの違いで大きく値を変える。その差は素材ではなく、ほとんどが人の時間です。工芸品の値札は、つまり誰かの時間の値札でもあります。

前回は秋田県の大館曲げわっぱでした。北海道・東北編は、ここでひと区切りです。

参考:天童市、東北経済産業局

——Value Village編集部