化粧品の成分名はなぜカタカナなのか
表示名称とINCI名の関係
化粧品の箱の裏には「ジメチコン」「トコフェロール」「BG」のように、カタカナや略号の成分名が並んでいます。これは各社がそれぞれ訳した名前ではなく、業界団体が作成した共通の「表示名称」に沿って書かれたものです。今回の「表示のルール」では、その名前がどこから来ているのかを整理します。
全成分表示と「成分表示名称リスト」
日本では2001年4月から、化粧品に配合したすべての成分を表示する「全成分表示」が求められています。同じ成分が会社ごとに違う名前で書かれては見比べることができないため、日本化粧品工業会(旧・日本化粧品工業連合会)が「化粧品の成分表示名称リスト」を作成しました。同工業会の趣旨説明では、薬機法に基づいて化粧品の全成分を表示する際には、このリストの名称を用いるとされています。
リストの各成分には、表示名称、INCI名、定義、成分番号がセットで収載されています。同工業会のウェブサイトによれば、名称リストにはNo.1からNo.49までで16,908成分が掲載されています(2026年9月時点)。リストにない新しい原料は、同工業会へ申し込むことで表示名称が作成される仕組みです。なお同工業会は、名称の収載は成分の安全性に関与するものではないと説明しています。
カタカナのもとになっているINCI名
INCI名(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)は、米国の業界団体Personal Care Products Council(PCPC)が作成している、化粧品成分の国際的な表示名称です。日本化粧品工業会は国際的な整合(グローバルハーモナイゼーション)の観点から、表示名称をINCI名に基づいて作成しており、2002年には「表示名称作成ガイドライン」を定めています。化学物質の名前などは英語の音をそのまま日本語に移すことが多いため、成分表示にはカタカナが目立つことになります。一方で、Waterが「水」と表示されるように、日本語に訳される名称もあります。
成分名のカタカナは「国際的な名称であるINCI名を日本語の表記に移したもの」と考えると読みやすくなります。名称リストでは表示名称とINCI名が対応づけて収載されているため、海外製品の英語の成分表示と見比べるときの手がかりにもなります。
EUでもINCIが土台に
EUの化粧品規則(規則(EC) No 1223/2009)第33条は、欧州委員会が「共通成分名の用語集」を作成・更新し、その際にINCIを含む国際的に認められた命名法を考慮すると定めています。成分表示にはこの共通成分名を用いる仕組みです。国や地域によって表記の言語は違っても、土台となる名前をそろえることで、同じ成分を同じ成分として見分けられるようにしているのです。
成分がどの順で並ぶのか、配合量の少ない成分はどう扱われるのかといった読み方は、全成分表示の読み方で詳しく紹介しています。
参考:日本化粧品工業会、欧州委員会(EU官報 規則(EC) No 1223/2009)
——Value Village編集部