
オーストラリアの日焼け止めは「医薬品」の枠組み
TGAの区分とAUST L番号
日本では、日焼け止めは化粧品(一部は医薬部外品)として売られています。一方、紫外線の強さで知られるオーストラリアでは、日焼け止めの多くが医薬品と同じ「治療用品(therapeutic goods)」の枠組みで管理されています。担当するのは保健省の薬事行政機関、TGA(Therapeutic Goods Administration)です。
「主目的」で決まる2つの区分
TGAは日焼け止めを、製品の主な目的で分けています。
- Primary sunscreen(主目的が紫外線防御のもの):治療用品として扱われ、原則として国の登録簿ARTG(Australian Register of Therapeutic Goods)に載っていなければ販売できません。多くは「リスト医薬品」の枠組みで、ラベルに「AUST L」で始まる番号が表示されます。
- Secondary sunscreen(主目的が別にあり、紫外線防御も兼ねるもの):保湿クリームや下地など。条件を満たすものは化粧品として扱われ、ARTGへの登録は不要です。
リスト医薬品の日焼け止めは、販売前にTGAが一つひとつ審査するのではなく、販売者(スポンサー)が安全性・品質・性能の要件を満たしていることを自ら保証する仕組みです。
化粧品として扱われる条件
TGAの除外規定(Excluded Goods Determination)では、たとえば次のような製品が治療用品の対象外、つまり化粧品として扱われます。
- 保湿を目的としたスキンケア製品で、SPFが4〜15、容量が300mLまたは300g以下、耐水性をうたわないもの
- SPF4以上のリップ製品、色つきのファンデーション など
反対に、保湿製品でもSPFが15を超えるものは治療用品として扱われます。2024年の改正では、化粧品として扱われるこれらの製品にも、日焼け止めの規格AS/NZS 2604:2021の表示の決まりと、UVA・UVBの両方を防ぐ「ブロードスペクトラム」の要件を満たすことが求められるようになりました。TGAのガイドラインでは、SPF60以上の製品を「SPF 50+」と表示し、最も高い区分「very high protection」に位置づけています。
要点
オーストラリアでは、紫外線防御が主目的の日焼け止めは治療用品としてARTGに載り、ラベルにAUST L番号がつきます。保湿製品などでSPF4〜15のものは条件つきで化粧品扱い。SPF表示は規格AS/NZS 2604:2021に沿って行います。
2025年、SPF表示の検証が話題に
2025年6月、現地の消費者団体CHOICEが市販の日焼け止め20製品を試験し、そのうち16製品が表示どおりの「SPF 50+」に届かなかったと公表しました。これを受けてTGAは調査に乗り出し、ARTGの登録を自主的に取り下げた製品も出ています。SPFは人の肌を使った試験で測るため、試験機関や条件によって数値がぶれることがあり、測定法そのものの見直しも国際的に進んでいます。
日本のSPF・PA表示の決まりはSPFとPAの記事で、日焼け止めと海の環境をめぐる規制はハワイ州の日焼け止めとサンゴ礁の記事で紹介しています。
参考:Therapeutic Goods Administration(TGA)「Sunscreen regulation in Australia」「Understanding the regulation of therapeutic sunscreens」「Australian Regulatory Guidelines for Sunscreens」、Therapeutic Goods (Excluded Goods) Amendment (Sunscreen) Determination 2024、CHOICE(2025年6月公表)
——Value Village編集部




