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殻付きのピスタチオ

世界のピスタチオは110万トン
米国が過去最高、トルコは7割減

ピスタチオのクリームを挟んだチョコレート、ピスタチオ色のジェラート、ラテ。ここ数年、緑色のスイーツは世界のカフェの定番になりました。では、その原料はどこで、どれだけ採れているのでしょうか。米国農務省(USDA)海外農業局が2026年2月に公表した「Tree Nuts: World Markets and Trade」から読み解きます。

世界の生産は約110万トン、前年より8%少ない

USDAによると、2025/26年度(2025年9月〜2026年8月)の世界のピスタチオ生産は、殻付き換算で約110万トンの見通しです。前年度から8%の減少で、トルコ・イラン・シリアの減産が、米国の増産を上回りました。

供給が減るため、世界の消費も4%減の約110万トンと見込まれています。それでも世界の輸出は6%増え、過去最高の68万3,000トンに達する見通しです。生産量が減ったのに輸出が増えるのは、国内で消費する割合が高い国の減産と、輸出に回す割合が高い国の増産が重なったためです。

数字で見る2025/26年度のピスタチオ(USDA、殻付き換算)
世界の生産:約110万トン(前年度比8%減)
米国の生産:71万3,000トン(43%増、過去最高)
イランの生産:20万トン(11%減)
トルコの生産:12万トン(約70%減)
世界の輸出:68万3,000トン(6%増、過去最高)

米国は「表年」で過去最高、トルコは霜と干ばつ

ピスタチオの木には、たくさん実をつける「表年」と、少ない「裏年」が交互に来る性質があります。米国は2025/26年度が表年にあたり、生産は43%増の71万3,000トンと過去最高の見通しです。米国内の消費も13%増の22万5,000トンと過去最高で、EUに次ぐ世界2位の消費地になっています。輸出は2割以上増えて42万5,000トン前後と見込まれ、アジアと欧州の主要市場へ向かいます。

対照的なのがトルコです。裏年に加え、生産の約8割が集中する南東部で霜と干ばつが重なり、生産は約7割減の12万トンにとどまる見通しです。ただしトルコは収穫の大半を国内で消費するため、世界の貿易への影響は限られるとUSDAはみています。

イランは開花期の高温と干ばつ、さらに電力不足による灌漑の中断が響き、11%減の20万トン。輸出も2割近く減る見込みです。

中国は春節前、EUは輸入が1割増

輸入側では、中国の輸入が約15%減の12万5,000トンと予測されています。中国のピスタチオ輸入は約半分が春節(旧正月)前に集中しますが、今季はその時期の出荷が例年ほど伸びませんでした。一方、EUの輸入は10%増の21万トンの見通しで、その多くを米国産が占めます。

2024年以降、中東発のピスタチオ入りチョコレートが世界的に話題になり、ピスタチオは菓子・ジェラート・ドリンクの素材として存在感を増しました。(スイーツの流行は世界のスイーツ食感トレンドの記事でも紹介しています。)産地が少数の国に集中しているため、天候や表年・裏年のリズムが、そのまま世界の供給と価格に響きやすい作物だといえます。

緑色のスイーツを見る目が少し変わる

ピスタチオは、木を植えてから安定して実をつけるまでに年月がかかり、毎年同じだけ採れるわけでもありません。ピスタチオのお菓子が少し高く感じられるときは、その背景に、遠い産地の霜や干ばつ、そして木そのもののリズムがあるのかもしれません。

USDAは同じ報告の次回版を2026年10月下旬に公表する予定としています。新しい年度の見通しが出たら、またお伝えします。

参考:米国農務省(USDA)海外農業局「Tree Nuts: World Markets and Trade」(2026年2月)

——Value Village編集部