VILLAGE通信 vol.17 高知県|世界の文化財を、この紙が直している

【VILLAGE通信 vol.17】世界の文化財を、この紙が直している
高知県

四国の最後です。高知の国指定は土佐和紙土佐打刃物の2品目。数は少ないですが、どちらも重い。

世界中の文化財を、直している

土佐和紙は千年の歴史を誇ります。手すき和紙の生産量は時代とともに減っています。

それでも残っている理由は、種類の豊富さと品質です。

書道用紙はもとより、絵画・版画などの美術用紙、美術品や文化財の修復用紙としても高い評価を得ており、世界中で使用されています

これは静かな、しかし非常に強い事実です。

文化財の修復は、失敗が許されません。使った紙が数百年後に変質したら、修復したものごと損なわれます。その場面で選ばれているということは、そういう信用があるということです。

生産量ではなく、使われ方で残った

鳥取の回で、因州和紙が「開発」で他の産地を圧倒した話を書きました。

高知は違う道を選んでいます。量ではなく、代替のきかない用途で残った。

どちらが正しいという話ではありません。この連載を書いていて、生き残り方はひとつではないということが見えてきました。

山林用刃物で、全国60%

土佐打刃物の歴史は、天正後期(1590年代)の長宗我部時代からとされます。

刀锻冶から習った鐠、鐢、鋸などの製造を中心に発達しました。

そして現在、山林用刃物のなかには全国の60%のシェアを占める製品もあります。

刀をつくっていた技術が、山仕事の道具に移った。島根の回で見たたたら製鉄と、ちょうど裏返しの関係です。あちらは刀のために鉄を戻し、こちらは刀の技を道具へ送った。

2品目という数

沖縄は16品目、高知は2品目。数だけ見れば大きな差です。

でも、2品目のうちひとつが世界中の文化財を支え、もうひとつが山林用刃物の6割をつくっています。

品目数と影響力は、別のものです。

四国を、回りました

香川はうちわで9割。徳島は藍が三つの工芸を生んだ。愛媛は焼き物で六番目。高知は2品目で世界と山を支えている。

四つとも、強さの作り方が違いました。

量で勝つ。つながりで守る。早く認められる。代替のきかない場所を取る。

どれかひとつを正解とする必要はなさそうです。

次号からは近畿へ。まずは和歌山へ向かいます。

参考:高知県庁「伝統産業」「高知県の伝統的工芸品・伝統的特産品の概要」「土佐和紙総合戦略」「土佐の手仕事図録」、伝統的工芸品産業振興協会

——Value Village編集部