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切り分けたハードタイプのチーズ

バターとチーズは誰が世界に届けるのか
米国の輸出が急伸した2026年

クロワッサン、フィナンシェ、チーズケーキ。洋菓子とパンのおいしさの多くは、バターとチーズに支えられています。その乳製品の世界の流れが、いま大きく動いています。米国農務省(USDA)海外農業局が2026年7月に公表した「Dairy: World Markets and Trade」から読み解きます。

米国のバター輸出は1年で2.5倍に

USDAによると、過去1年の米国の乳製品輸出額の伸びのうち、約3分の2がバターとチーズによるものでした。バターの輸出は148%、チーズは21%増え、どの地域向けでも過去最高を記録したといいます。

背景にあるのは、米国内で何年もかけて進めてきた乳製品の加工設備への投資と、2年続けて2%を超えると見込まれる生乳生産の伸びです。米国産のチーズとバターは、ほかの主要輸出国に比べて割安な状態が続き、チーズで1ポンドあたり約36〜70セント、バターで80セントから1ドル強の価格差があったとUSDAは分析しています。

輸出先も広がりました。2024年には米国のバター輸出量の72%が北米向けでしたが、2025年から2026年1〜5月にかけては北米の比率が44%まで下がり、東アジア、中東、オセアニアへの輸出が大きく伸びています。

数字で見る2026年の乳製品(USDA、2026年7月)
米国のバター輸出:過去1年で148%増
米国のチーズ輸出:過去1年で21%増
EUの生乳生産:1億5,000万トン
EUのチーズ生産:1,110万トン(約2%増)
EUのバター生産:220万トン
ニュージーランドの生乳生産:2,250万トン(過去最高)
ニュージーランドのバター生産:54万5,000トン(2%増)

EUはチーズへ、ニュージーランドは過去最高

世界最大級の乳製品産地であるEUでは、2026年の生乳生産が1億5,000万トンとわずかに増える見通しです。乳牛の頭数は2015年から毎年減り続けていますが、1頭あたりの生産性の向上がそれを上回っています。限られた生乳は、より収益の高いチーズへ優先的に回され、チーズ生産は約2%増の1,110万トン、バターは220万トンの見通しです。EUのチーズ輸出は日本やサウジアラビア、エジプト向けが支えるとされています。

南半球のニュージーランドは、生乳生産が過去最高の2,250万トンに達する見通しです。バター生産は2%増の54万5,000トンで、そのほとんどが輸出に回ります。オーストラリアも干ばつから回復し、生乳は2.4%増の870万トン。チーズの最大の輸出先は日本です。

世界の需要を押し上げたもの

USDAは、世界の乳製品の需要が2026年初めにかけて加速し、東南アジア、中東・北アフリカ、中国がそろって購入を増やしたと伝えています。外食の広がりでチーズを食べる人が増えたこと、乳製品価格が比較的手ごろだったこと、そしてパーム油の価格が高く、乳脂肪がその代わりに選ばれやすかったことが挙げられています。

産地が増産し、需要も伸びる。そのなかで、どの国がどこへ届けるのかという地図が書き換わりつつあるのが2026年の乳製品市場です。

日本の洋菓子とのつながり

日本は乳製品の多くを海外からも調達しています。バターやチーズの国際的な流れは、ケーキ屋さんやパン屋さん、そしてカフェのメニュー価格にも、時間をおいて影響します。洋菓子の素材の話はアイスクリーム市場やカカオ価格の記事でも紹介しています。

参考:米国農務省(USDA)海外農業局「Dairy: World Markets and Trade」(2026年7月)

——Value Village編集部