
VILLAGE通信 vol.19 山梨県
甲州水晶貴石細工、山が育てた透明な輝き
The text of this article is in Japanese.
中部編の5回目は山梨県です。山梨県には甲州印伝や甲州手彫印章もありますが、今回は甲府市を中心に受け継がれる「甲州水晶貴石細工(こうしゅうすいしょうきせきざいく)」を訪ねます。水晶や翡翠などの天然石を、職人が手で削り、磨き上げて置物や装身具に仕立てる工芸です。
金峰山で見つかった水晶
山梨県の資料によると、甲府の水晶細工の起こりは、御岳昇仙峡の奥地にあたる金峰山で水晶が発見された約1,100年前にさかのぼるとされます。昇仙峡は花崗岩の岩肌と渓流が続く景勝地で、秋には紅葉の名所としても知られています。山の信仰と結びついた水晶は、長いあいだ原石のまま大切にされてきました。
京都の玉造り職人がもたらした磨きの技
水晶が「細工」として産業になったのは江戸時代です。天保年間(1830〜1844年)に京都から玉造りの職人を迎え、鉄板の上に金剛砂をまいて水晶を磨く方法が考え出されたと、山梨県は伝えています。安政年間(1850年代)には、水晶や翡翠を使った数珠や帯留め、根付けの注文を受けていたことが地元の記録に残り、江戸時代の末には産地としての形が整いました。こうして磨きの技が育ったことが、のちに甲府が宝飾品のまちとして知られる土台になりました。
要点
・約1,100年前、御岳昇仙峡の奥の金峰山で水晶が見つかったと伝わる
・江戸時代の天保年間、京都から玉造りの職人を迎えて研磨の技が根づいた
・鉄板に金剛砂をまいて磨く方法が考え出された
・1976年(昭和51年)6月、国の伝統的工芸品に指定
石の声を聴く仕事
天然石は一つひとつ色や模様、内側の傷の入り方が違います。職人は原石をよく見て、どこを生かしどこを落とすかを決め、少しずつ形を出していきます。1976年(昭和51年)に国の伝統的工芸品に指定され、1994年(平成6年)には山梨県の郷土伝統工芸品にも認定されました。甲府市内には水晶や宝石の歴史にふれられる施設もあり、昇仙峡と合わせて訪ねると、石と人の長いつきあいが見えてきます。
前回は福井県の越前和紙でした。VILLAGE通信 vol.18 福井県はこちら。山梨県の見どころは47都道府県ガイドの山梨県編からどうぞ。次回は長野県を訪ねます。
参考:山梨県(商工・伝統工芸品)、経済産業省「伝統的工芸品」指定品目一覧、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Shift/CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)




