
VILLAGE通信 vol.21 岐阜県
美濃焼、桃山の自由が息づく器
中部編の7回目は岐阜県です。岐阜県には飛騨春慶や一位一刀彫、岐阜提灯などもありますが、今回は多治見市・土岐市・瑞浪市など、県の東部に広がる東濃(とうのう)地域で作られる「美濃焼」を訪ねます。土岐市駅の前には、表紙の写真のような大きな抹茶碗が置かれ、やきもののまちであることを伝えています。
1,300年つづく窯の火
この地域では、約1,300年前から焼き物が作られてきたと、国土交通省の観光解説にも紹介されています。山あいから良質な粘土が採れ、窯の燃料になる木も豊かだったことが、長い歴史を支えてきました。1978年(昭和53年)、美濃焼は通商産業省(現在の経済産業省)から国の伝統的工芸品に指定されています。
志野、織部——桃山のひらめき
美濃焼がまとまった個性を放ったのが、戦国の世から江戸初めにかけての安土桃山時代です。茶の湯の流行とともに、淡い黄色の「黄瀬戸」、漆黒の「瀬戸黒」、白い釉がふっくらと掛かる「志野」、そして武将で茶人の古田織部の好みを映したとされる、ゆがんだ形と緑の釉の「織部」が生まれました。これらは「美濃桃山陶」と呼ばれ、形や絵柄にとらわれない自由さがいまも産地の気風として受け継がれています。
要点
・多治見市・土岐市・瑞浪市など東濃地域で約1,300年、焼き物が作られてきた
・桃山時代に黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部が生まれた
・岐阜県の和食器の出荷額は全国の43%(2017年、経済産業省「工業統計調査」)
・1978年(昭和53年)、国の伝統的工芸品に指定
食卓の器のふるさと
美濃焼は茶道具だけでなく、毎日の食卓で使う器の一大産地でもあります。岐阜県が経済産業省「平成29年工業統計調査」をもとにまとめた資料では、和食器の出荷額に占める岐阜県の割合は43%で全国1位です。ご自宅の食器棚の碗や小皿を裏返すと、「美濃焼」と書かれていることがあるかもしれません。産地では窯元をめぐったり、陶器まつりで器を選んだりする楽しみもあります。
前回は長野県の木曽漆器でした。VILLAGE通信 vol.20 長野県はこちら。岐阜県の見どころは47都道府県ガイドの岐阜県編からどうぞ。次回は静岡県を訪ねます。
参考:岐阜県(データでみる岐阜県、岐阜県観光連盟)、経済産業省「平成29年工業統計調査」「伝統的工芸品」指定品目一覧、国土交通省観光庁多言語解説文データベース、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Twilight2640/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)




