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丹波篠山市の丹波古陶館の入口に並ぶ丹波焼の壺

VILLAGE通信 vol.28 兵庫県
丹波立杭焼、800年続く日本六古窯の里

近畿編の5回目は兵庫県です。兵庫県には播州そろばんや豊岡杞柳細工、播州三木打刃物など、国の伝統的工芸品がいくつもありますが、今回は県の中東部、丹波篠山市今田町の立杭(たちくい)地区を中心に焼かれる「丹波立杭焼(たんばたちくいやき)」を訪ねます。表紙の写真は、丹波篠山市河原町にある丹波古陶館の入口。門の内側に、丹波焼の大きな壺が並んでいます。

穴窯から登窯へ

兵庫県によると、丹波立杭焼の始まりは平安時代の終わりから鎌倉時代の初めとされます。桃山時代の末までのおよそ400年間は、山の斜面を掘り込んだ「穴窯」で焼かれ、作られたのは主に壺や甕(かめ)など、釉薬(ゆうやく)をかけない器でした。

江戸時代の初めになると、焼成室がいくつも連なる「登窯(のぼりがま)」が使われるようになります。立杭の登窯はその長い姿から「蛇窯」とも呼ばれ、焼成室は8〜9室。穴窯に比べて焼く時間がおよそ3分の1で済み、たくさんの器を焼けるようになりました。明治28年(1895年)に築かれた登窯が今も残り、登窯の作窯技法は国の無形文化財に選択されています。

左回りの蹴ろくろと、灰の釉

登窯の時代とともに始まったのが、立杭独特の左回転の蹴ろくろによる成形です。釉薬も灰釉(はいゆう)、赤土部釉(あかどべゆう)、石黒釉などが使われるようになり、釘彫りや葉文、筒描き、墨流しといった多彩な装飾が生まれました。江戸時代には茶人・小堀遠州の指導で、茶器の名品「遠州丹波」も作られています。

要点
・平安時代の終わりから鎌倉時代の初めに始まったとされる
・約400年の穴窯の時代を経て、江戸時代の初めから登窯で焼かれるようになった
・左回転の蹴ろくろと、灰釉などの釉薬が特徴
・1978年2月に国の伝統的工芸品に指定、2017年に「日本六古窯」として日本遺産に認定

六古窯のひとつとして

丹波立杭焼は、瀬戸・常滑・信楽・備前・越前とともに「日本六古窯」に数えられます。1978年(昭和53年)2月に国の伝統的工芸品に指定され、2017年には六つの産地がそろって日本遺産に認定されました。兵庫県の資料によると、立杭には約60軒の窯元が集まっています。

阪神・淡路大震災の後には需要が大きく落ち込みましたが、半年ほどでほぼ回復したといいます。日々の食卓で使える器を焼き続けてきた産地の強さが、今に続いています。

前回は大阪府の堺打刃物でした。VILLAGE通信 vol.27 大阪府はこちら。同じ六古窯の信楽焼はvol.25 滋賀県で紹介しています。兵庫県の見どころは47都道府県ガイドの兵庫県編からどうぞ。次回は奈良県を訪ねます。

参考:兵庫県(丹波立杭焼)、経済産業省「伝統的工芸品」指定品目一覧、文化庁「日本遺産」

——Value Village編集部

写真:663highland/CC BY 2.5(Wikimedia Commons)