
【VILLAGE通信 vol.42】硯の9割を、この浜が
宮城県
宮城県の国指定は宮城伝統こけし、雄勝硯、鳴子漆器、仙台箪笥の4品目です。
学校で使った硯は、ここのものだったかもしれません
雄勝硯は、国内の硯生産の大半を占めてきました。石巻市雄勝地区で採れる雄勝石という黒い粘板岩を使います。
雄勝石の特徴は、針のような細かい粒子が表面にあることです。この粒が墨を削り、なめらかに磨れます。
奈良の回(vol.19)で、墨の9割以上が奈良でつくられると書きました。
墨は奈良、硯は宮城、筆は広島と奈良と愛知、紙は全国。
書道というひとつの行為のために、日本中の産地が役割を分けています。
なお雄勝地区は、2011年の東日本大震災の津波で、工房も道具も大きな被害を受けました。それでも、いまも硯はこの地で彫られています。
こけしには、系統がある
宮城伝統こけしは、ひとつの形ではありません。
鳴子、作並、遠刈田、弥治郎、肘折——五つの系統があります。首のつけ方も、胴体の形も、描く模様も違う。
鳴子こけしは、首を回すとキイキイと鳴ります。これは飾りではなく、胴体と首をはめ込む構造から自然に出る音です。
こけしはもともと、温泉地の土産として、木地師が冬の仕事としてつくっていたものです。
長野の南木曽ろくろ細工(vol.28)、富山の庄川挽物木地(vol.32)と同じ、木を回して削る技術から出ています。
金具を、打ち付ける箪笥
仙台箪笥の特徴は、重々しい錺金具です。龍、唐獅子、牡丹、唐草。鉄板を手で彫り抜いてつくります。
木地、漆、金具。三つの職の共同作業です。
滋賀の彦根仏壇(vol.21)の七つの職、東京の江戸木版画(vol.34)の三人一組と同じです。
ちなみに桐箪笥は和歌山・新潟・埼玉・大阪にありました。仙台箪笥は桐ではなく、ケヤキやクリなどを使います。目的が違うからです。桐は着物をしまうため、仙台箪笥は見せるため。
よくある質問
Q. 鳴子漆器は会津塗と違いますか。
A. 違います。鳴子漆器の代表的な技法に「木地呂塗」があり、木目をあえて見せる仕上げをします。岐阜の飛騨春慶(vol.26)や神奈川の小田原漆器(vol.35)と同じ考え方です。
次号は山形へ。将棋の駒の話です。
参考:宮城県、石巻市、大崎市、仙台市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:海獺/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)




