
英国で化粧品を売るには
EU離脱後の届出「SCPN」と英国責任者
EUの化粧品は、規則1223/2009に基づき、販売前にEUの届出システム「CPNP」へ登録します(EU 1223/2009の記事)。では、2020年末にEU離脱の移行期間を終えた英国ではどうなっているのでしょうか。
グレートブリテンは独自の届出システムへ
イングランド・スコットランド・ウェールズ(グレートブリテン、GB)では、EUの化粧品規則を英国法として引き継ぎ、2019年のEU離脱関連の改正規則で英国向けに書き換えた制度が使われています。取り締まりの根拠になるのは「化粧品執行規則2013(Cosmetic Products Enforcement Regulations 2013)」です。
届出先は、ビジネス・通商省の製品安全基準局(OPSS)が運営する「SCPN(Submit Cosmetic Product Notifications)」です。GBの消費者が手にするすべての化粧品について届出が必要です。
- 2021年1月1日より前にEUのCPNPへ届け出ていた製品は、2021年3月31日までにSCPNでの届出が求められました。
- それ以降に新しくGBで販売する製品は、販売前にSCPNで届け出ます。
一方、北アイルランドは別扱いで、引き続きEUのルールとCPNPに沿う仕組みになっています。英国のなかでも地域によって届出先が違う点が特徴です。
届け出る内容と「英国責任者」
SCPNで求められる主な情報は次のとおりです。
- 製品の成分(一部のナノマテリアルを含む)
- 国の中毒情報サービス(NPIS)や地域の取引基準局(Trading Standards)からの問い合わせに応じる連絡先
- 英国責任者(UK Responsible Person)の情報
中毒情報サービスの連絡先が求められるのは、子どもが化粧品を誤って口にした場合などに、医療現場が製品の中身をすぐ確かめられるようにするためです。届出は販売の許可を得る手続きではなく、市場にある製品を行政と医療機関が把握するための仕組みといえます。
GBで売られる化粧品には、英国に拠点を置く「英国責任者」が必ず必要です。製品が規則を守っていることに責任を持つ個人または会社で、その連絡先はSCPN上でも製品の表示でも最新に保つ必要があります。EU向けの責任者とは別の役割で、EUと英国の両方で販売する場合はそれぞれに責任者を置きます。
届出をしなかった場合、罰金と最長3か月の禁錮が科される可能性があります。罰金はイングランドとウェールズでは上限なし、スコットランドと北アイルランドでは最大5,000ポンドと、英国政府の案内に明記されています。
要点
EU離脱後のグレートブリテンでは、化粧品の届出はEUのCPNPではなく英国のSCPNで行います。成分・連絡先・英国責任者を届け出る必要があり、責任者は英国に拠点を置かなければなりません。北アイルランドは引き続きEUのルールに沿います。
日本の「製造販売元」との共通点
「市場に出す製品に責任を持つ者をはっきりさせる」という考え方は、日本の化粧品にも通じます。日本では化粧品製造販売業の許可を持つ事業者が製品の責任を負い、その名称が容器に「製造販売元」として表示されます(製造販売元の記事)。国は違っても、誰が責任者かを消費者と行政から見えるようにする点は共通しています。
参考:GOV.UK「Submit cosmetic product notifications (SCPN)」、Office for Product Safety and Standards「Regulation 1223/2009 and the Cosmetic Products Enforcement Regulations 2013: Great Britain」
——Value Village編集部
写真:The Cosmonaut/CC BY-SA 2.5(Wikimedia Commons)




