
撥水加工の服から「PFAS」が消える
フランスで2026年に衣料品・靴への使用禁止、2030年には繊維全体へ
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雨をはじくレインウェアや、汚れがつきにくい加工のパンツ。その「はじく力」を支えてきた化学物質のひとつが、PFAS(ピーファス)です。フランスでは2026年1月1日から、このPFASを使った一般向けの衣料品・靴の販売などが禁止されました。
PFASとは——「ほとんど分解されない」化学物質
PFASは、炭素とフッ素が強く結びついた有機フッ素化合物の総称で、数千種類あるといわれます。水も油もはじき、熱にも強いため、衣料品の撥水・撥油加工のほか、調理器具や包装材など幅広い製品に使われてきました。
一方で、その結びつきの強さゆえに自然界でほとんど分解されず、環境中に長く残ることから「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれます。欧州では、PFASを一括して規制する案が2023年にドイツ、デンマーク、ノルウェー、オランダ、スウェーデンの5か国から欧州化学品庁(ECHA)に提出され、現在も審議が続いています。フランスは、そのEU全体のルールを待たずに先行した形です。
フランスの法律で決まったこと
2025年2月27日に成立した法律(法律第2025-188号)と、同年12月28日の施行令によって、次のことが定められました。
- 2026年1月1日から:PFASを含む一般消費者向けの衣料品、靴、そして衣料品・靴用の防水スプレーなどの撥水剤の製造・輸入・輸出・販売を禁止。化粧品、ワックス製品も対象です。
- 2030年1月1日から:対象をPFASを含むすべての繊維製品に拡大。
- 例外:国防や救助活動などで人の安全を守るための防護服・靴、代わりのない国の安全保障に関わる用途、産業用の技術繊維などは除かれます。また、政令で定める微量の残留値以下であれば対象外です。
2026年より前に作られた在庫については、条件つきで一定期間の販売猶予が設けられています。法律にはほかにも、工場などからの排水中のPFASに年100グラムあたり100ユーロの負担金をかける仕組みや、PFASを排出している(していた)施設を地図で公開する仕組みも盛り込まれました。
ポイント
フランスは2026年1月から、PFASを使った一般向けの衣料品・靴・撥水スプレーを禁止。2030年には、防護服など一部の例外を除き、繊維製品全体に広げます。
「撥水」はなくなるの?——代わりの技術
PFASが使えなくなっても、撥水の服がなくなるわけではありません。アウトドアウェアの分野では、すでにフッ素を使わない撥水加工(「PFCフリー」「フッ素フリー」などと表示されることがあります)への切り替えが進んでいます。
ただし、フッ素を使わない加工は、水ははじいても油汚れには弱いなど、性能の出方が異なる場合があります。撥水の効果は洗濯や摩擦で少しずつ弱まるので、洗濯表示に従って手入れし、必要に応じて対応する撥水剤で補うと長く使えます(洗濯表示41種類の読み方)。
日本で服を選ぶときに
日本でも、PFASのうちPFOSやPFOAなど一部の物質は、法律(化学物質審査規制法)で製造・輸入が禁止されています。一方、フランスのように「PFAS全体を衣料品から外す」ルールはまだありません。
気になる場合は、商品タグや公式サイトで「フッ素フリー」「PFASフリー」といった表示があるかを確かめるのがひとつの目安です。ヨーロッパの規制は、世界中で同じ服を売るブランドの素材選びにも影響します。数年のうちに、日本の店頭に並ぶ撥水ウェアの「中身」も静かに入れ替わっていくかもしれません。
参考:フランス「PFASのリスクから国民を守るための法律」(Loi n° 2025-188、2025年2月27日)および施行令(Décret n° 2025-1376、2025年12月28日)、各国の認証機関による法令解説
——Value Village編集部
写真:David kss7/CC BY 4.0(Wikimedia Commons)




