
【VILLAGE通信 vol.39】「民藝」という言葉の、産地
栃木県
栃木県の国指定は益子焼と結城紬の2品目です。天明鋳物と日光彫は、県の伝統工芸品に指定されています。
雑器が、名前を持った
益子焼は、江戸末期に始まった比較的新しい窯です。
最初につくっていたのは水瓶、土鍋、鉢。東京へ送る日用雑器でした。
状況を変えたのは、濱田庄司らによる民藝運動です。「名もない職人がつくる日用品にこそ美がある」という考え方です。
これは、この連載で見てきた他の産地とは全く違う育ち方です。
石川(vol.31)は藩が金を出し、京都(vol.22)は客が目の前にいました。益子は、「評価の言葉」があとからやってきた産地です。
同じものをつくっていても、説明する言葉ができると、価値の見え方が変わる。
長野の松本家具(vol.28)も、同じ民藝運動のなかで整理された工芸でした。二つの産地が、同じ考え方に拾われています。
釜と、彫り
天明鋳物は、佐野市を中心に千年以上の歴史があるとされる鉄の鋳物です。茶の湯釜が代表作です。
富山の高岡銅器(vol.32)は銅の鋳物、岩手の南部鉄器(vol.44)は鉄の鋳物。天明は、そのどちらより古い系統にあたるとされます。
日光彫は、日光東照宮の造営に集められた職人が、仕事の合間に彫ったのが始まりとされます。
埼玉の岩槻人形(vol.36)も、同じ日光東照宮の造営に集まった職人が始めたと伝えられます。
ひとつの建築が、二つの県の工芸をつくったことになります。
日光彫の特徴はひっかき刀という独特の刃物。引いて彫るので、曲線がなめらかになります。
よくある質問
Q. 益子焼には決まった形がありますか。
A. 厳密な様式はありません。地元の土と釉を使うことが基本で、作り手ごとの幅が広いのが特徴です。そのため、外部から新しい作家が参入しやすい産地としても知られています。
次号は群馬へ。「西の西陣、東の桐生」の話です。
参考:栃木県、益子町、佐野市、日光市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




