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天童駅前の王将の石碑

【VILLAGE通信 vol.43】将棋の駒、全国の9割
山形県

山形県の国指定は天童将棋駒、山形鋳物、山形仏壇、置賜紬、羽越しな布です。

武士の、内職だった

天童将棋駒は、国内生産の大半を占めます。プロ棋士のタイトル戦で使われる盛上駒も、この町でつくられています。

始まりは江戸後期。天童織田藩は小さな藩で、財政が苦しかった。

そこで藩は、下級武士の内職として将棋駒づくりを奨励しました。

この連載で、武士と工芸の関係を何度か見てきました。

  • 滋賀(vol.21)は、武具職人が仏壇に転じた
  • 高知(vol.17)は、刀鍛冶の技が山の道具になった
  • 山形は、武士自身がつくり手になった

「駒を削るのは武士の尊厳を傷つけない」という考え方があったとも言われます。将棋は武芸に近いとされていたからです。

何をつくるかは、その土地の人が何を許したかでも決まります。

薄さを、競ってきた鉄

山形鋳物の特徴は、薄さです。

茶の湯釜や鉄瓶を、できるかぎり薄く鋳造する。薄いほど軽く、熱の伝わり方が早い。

栃木の天明鋳物(vol.39)、岩手の南部鉄器(vol.44)と並ぶ鉄の産地ですが、山形は「薄さ」で役割を取っています。

同じ素材でも、産地ごとに違う強みを持つ。この連載で、何度も見てきたことです。

広い県の、南と北

置賜紬は県南、羽越しな布は県北の鶴岡周辺でつくられます。

羽越しな布は、シナノキの樹皮の繊維を使う布です。麻よりさらに硬く、水に強い。日本で最も古い織物の系統のひとつとされます。

この名前は新潟県側にもまたがっています(vol.33)。工芸の地図は、何度見ても県境で切れていません。

よくある質問

Q. 将棋駒にも種類がありますか。
A. あります。文字を書く「書き駒」、漆を盛り上げる「盛上駒」、彫って漆を入れる「彫駒」「彫埋駒」などがあり、工程数も価格も大きく異なります。

次号は岩手へ。鉄瓶と、国産漆の話です。

参考:山形県、天童市、山形市、米沢市、鶴岡市、伝統的工芸品産業振興協会

——Value Village編集部

写真:くろふね/CC BY 4.0(Wikimedia Commons)