VILLAGE通信 vol.15 新潟県
燕鎚起銅器、一枚の銅板を叩いて器に
関東編を終え、今回から中部編です。最初に訪ねるのは新潟県。金属加工のまちとして知られる燕市で、二百年以上続いてきた「燕鎚起銅器(つばめついきどうき)」を紹介します。
「鎚」で「起こす」
鎚起(ついき)とは、文字どおり鎚(つち)で叩いて起こすこと。継ぎ目のない一枚の銅板を、当て金にのせて金鎚で細かく叩き、少しずつ縮めながら立ち上げて器の形にしていきます。銅は叩くほど硬くなるため、途中で火にかけてやわらかく戻し、また叩く。この繰り返しで、急須や湯沸かし、花器などが生まれます。
江戸の和釘から、銅器へ
燕は江戸時代から和釘づくりが盛んな土地でした。近隣で銅が採れたこともあり、18世紀後半には仙台から来た職人によって鎚起の技術が伝えられたとされます。1816年(文化13年)には、現在も続く老舗が創業しています。1981年(昭和56年)、燕鎚起銅器は国の伝統的工芸品に指定されました。
要点
・継ぎ目のない一枚の銅板を、金鎚で叩いて立ち上げる
・叩いて硬くなった銅を火でやわらかく戻し、また叩く
・燕の和釘づくりの土壌に、18世紀後半に技術が伝わったとされる
・1981年(昭和56年)、国の伝統的工芸品に指定
使うほど、色が深まる
鎚起銅器の表面には、鎚目(つちめ)と呼ばれる叩いた跡が残ります。仕上げに硫化させたり、錫を焼き付けたりして、銅色や紫金色などさまざまな色合いを出します。日々手に取るうちに色つやが落ち着いていくのも、銅器ならではの楽しみです。2010年には、鎚起銅器の技で重要無形文化財「鍛金」の保持者(人間国宝)に認定された職人も出ています。
前回は神奈川県の箱根寄木細工でした。VILLAGE通信 vol.14 神奈川県はこちら。新潟県の見どころは47都道府県ガイドの新潟県編からどうぞ。次回は富山県を訪ねます。
参考:経済産業省「伝統的工芸品」指定品目一覧、伝統的工芸品産業振興協会、燕市
——Value Village編集部