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VILLAGE通信 vol.30 和歌山県
紀州漆器、黒江の町が育てた暮らしの器

The text of this article is in Japanese.

近畿編の最終回は和歌山県です。和歌山県には紀州箪笥や紀州へら竿なども国の伝統的工芸品として指定されていますが、今回は県の北部、海南市黒江(くろえ)地区を中心に作られる「紀州漆器(きしゅうしっき)」を訪ねます。黒江で作られることから「黒江塗」とも呼ばれます。表紙の写真は、2024年10月に撮影された海南市黒江の町並み。古い町家が通りに沿って並んでいます。

渋地椀から始まった

和歌山県によると、紀州漆器の起源は室町時代です。豊かな紀州の木材で椀を作っていた木地師が、木地に漆を塗る技法を取り入れ、「渋地椀(しぶじわん)」を作ったのが始まりとされます。近くの根来寺で作られていた「根来塗」の技が伝わったという言い伝えもあります。

江戸時代の初めには黒江に職人や商人が集まり、紀州藩の保護を受けて渋地椀や折敷(おしき)などを盛んに作りました。木地、塗り、加飾(蒔絵や沈金)をそれぞれの職人が受け持つ分業によって、質がよく値段の手ごろな器を数多く生産し、江戸や上方、四国、九州へと送り出しました。

要点
・室町時代、紀州の木地師が作った渋地椀が始まりとされる
・江戸時代に紀州藩の保護を受け、分業で暮らしの器を数多く生産
・海南市黒江は、会津塗(福島県)、山中塗(石川県)と並ぶ漆器の産地
・1978年に国の伝統的工芸品に指定(和歌山市・海南市・紀美野町)

のこぎり歯の町並み

黒江の町を歩くと、家々が通りに対して斜めに建ち、軒先がのこぎりの歯のようにギザギザに連なる、独特の町並みに出会います。漆器の職人や商人の家が並んでいた名残で、江戸時代の塗師の家を改装したギャラリーやカフェもあり、漆塗りの体験ができる場所もあります。

紀州漆器は1978年(昭和53年)に国の伝統的工芸品に指定されました。指定地域は和歌山市・海南市・紀美野町。海南市黒江地区は、会津塗の福島県、山中塗の石川県と並ぶ日本の三大産地のひとつとされています。

前回は奈良県の高山茶筌でした。VILLAGE通信 vol.29 奈良県はこちら。和歌山県の見どころは47都道府県ガイドの和歌山県編からどうぞ。次回からは中国地方へ、鳥取県を訪ねます。

参考:和歌山県(紀州漆器)、海南市、経済産業省「伝統的工芸品」指定品目一覧

——Value Village編集部

写真:663highland/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)