
【VILLAGE通信 vol.28】山の中に、七つの産地
長野県
長野県の国指定は信州紬、木曽漆器、飯山仏壇、内山紙、松本家具、南木曽ろくろ細工、信州打刃物の7品目です。
地図で位置を確かめると、あることに気づきます。
山で、隔てられている
木曽は南西、飯山と内山は北東、信濃町は北、松本は中央、南木曽は南西の端。七つの産地は、山を隔てて県内に散らばっています。
兵庫(vol.24)も「全部別の場所」でしたが、あちらは播磨・但馬・丹波という広い地域の話でした。
長野は山で仕切られているのが違います。峠を越えないと隣に行けない。だから、それぞれが独立して育った。
ひとつの県のなかに、交流の少ない産地が七つある。これは山国ならではの形です。
宿場の、漆器
木曽漆器は、中山道沿いの漆器の町・平沢を中心につくられます。
特徴は錆土(さびつち)という地元の土を下地に混ぜること。これが漆の食いつきをよくし、丈夫にします。
木曽は木曽ヒノキの産地でもあります。器の木も、下地の土も、地元にあった。
そして街道が通っていた。岐阜の飛騨春慶(vol.26)は木目を見せる漆器でしたが、木曽は丈夫さで売った漆器です。旅人が買って帰るものは、まず壊れないことが大事でした。
雪の国、紙と仏壇
内山紙は、飯山周辺でつくられる楮の和紙です。
この地域の紙づくりには「雪ざらし」という工程があります。雪の上に楮を広げ、日光と雪の反射で自然に白くする。
薬品を使わずに漂白する方法です。雪が多いことが、そのまま品質になっている。
同じ飯山に飯山仏壇があるのも偶然ではありません。雪で農作業ができない冬に、屋内の手仕事が育ちました。
滋賀の彦根仏壇(vol.21)は「藩の武具職人が転じた」ものでした。飯山は「冬が長かった」から生まれています。
ろくろと、家具
南木曽ろくろ細工は、木を回しながら刃を当てて削る挽物です。お盆、鉢、茶托。
松本家具は、16世紀後半に松本の城下町ができたころに始まった家具です。戦後は、柳宗悦らの民芸運動が産地の立て直しを支えました。
この連載で何度か書いてきましたが、伝統は途中で足されることがあります。
次号は山梨へ。鹿の革の話です。
参考:長野県、塩尻市、飯山市、南木曽町、松本市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:663highland/CC BY 2.5(Wikimedia Commons)




