
【VILLAGE通信 vol.30】眼鏡のフレーム、9割超
福井県
福井県の国指定は越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前焼、越前箪笥、若狭塗、若狭めのう細工の7品目です。
そして、指定の外にもうひとつ、大きな数字があります。
眼鏡の、9割超
鯖江市を中心とする福井県は、国産眼鏡フレームの9割超をつくっています。
始まりは明治38年(1905年)。雪で農業ができない冬の仕事として、大阪から職人を招いて眼鏡づくりを始めたのがきっかけとされます。
長野の飯山(vol.28)で、雪が仏壇と紙を生んだ話を書きました。福井の眼鏡も、同じ「冬が長い」から出発しています。
そして1980年代、鯖江はチタンフレームの量産に世界で最初に成功します。チタンは軽くて錆びず、金属アレルギーが出にくい。ただし加工が非常に難しい。
難しいものをやったから、代わりがきかなくなった。高知の土佐和紙(vol.17)と同じ生き残り方です。
六古窯の、いちばん北
越前焼は日本六古窯のひとつ。この連載では備前・信楽・丹波・瀬戸・常滑に続いて六つ目です。これで六古窯が揃いました。
越前焼も釉薬をかけずに焼き締めます。かつては甕や壺——水や種を貯める大きな器の産地でした。北前船で日本海側に広く運ばれています。
刃物と、紙と、漆
越前打刃物は約700年の歴史があるとされ、鎌の産地として全国に知られました。包丁は堺(vol.23)、鎌は越前。刃物にも役割分担があります。
越前和紙は、この連載で八つ目の紙です。特徴は「大きな紙が漉ける」こと。襖紙や、日本画の大判に使われます。
高知は文化財の修復、三重は染めの型、岐阜はユネスコ、長野は雪ざらし、鳥取は開発、そして福井は大判。紙は、どこも違うことをやっています。
越前漆器は業務用漆器の産地としても知られ、旅館や料理店で使われる器を多くつくってきました。
若狭の、二つ
若狭塗は、卵殻や貝殻を漆に埋め込み、研ぎ出して模様にする技法。若狭めのう細工は、瑪瑙を焼いて色を出し、削る工芸です。
山梨の水晶(vol.29)と同じく、石を削る産地がここにもあります。
7品目+眼鏡
指定7品目と、国内シェア9割超の産業。福井は、伝統と近代の両方で数字を持っている県です。
共通しているのは、冬に屋内でできる、細かい手仕事だということ。
次号は石川へ。金箔の話です。
参考:福井県、鯖江市、越前市、越前町、福井県眼鏡協会、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




