
【VILLAGE通信 vol.36】雛人形の生産、日本一
埼玉県
埼玉県の国指定は江戸木目込人形、岩槻人形、春日部桐箪笥、行田足袋、秩父銘仙の5品目です。
人形の、まち
岩槻(さいたま市)は、雛人形の産地として全国的に知られています。
なぜこの場所だったのか。理由は三つあると言われます。
- 日光東照宮の造営・修復に集められた職人が、帰途にこの地に住み着いた
- 桐の粉と、良質の水があった(人形の頭は桐粉と胡粉を練ってつくる)
- 江戸が近い。大きな客が隣にあった
静岡の駿河雛具(vol.27)も、静岡浅間神社の造営に全国から集まった職人の技が礎になったとされます。
大きな造営工事が職人を呼び寄せ、産地を残す。同じ型です。
そして役割も分かれました。静岡は「雛具(持ち物)」、埼玉は「人形そのもの」。
木目込という、つくり方
江戸木目込人形の「木目込」とは、胴体に彫った溝に、布の端を押し込んで着物を着せる技法です。
縫わない。溝に糊を入れ、目打ちで布の端を押し込んで止めます。
だから、溝の深さと幅がすべてを決めます。浅ければ抜け、深すぎれば布が痩せる。
この名前が埼玉と東京の両方で指定されているのは、産地が県境をまたいでいるからです。富山と石川(vol.31・32)がもとは同じ藩だったのと同じで、工芸の地図は行政区と一致しません。
ユネスコの、三つ目の紙
細川紙は、2014年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和紙:日本の手漉和紙技術」の三つのうちのひとつです。
残りの二つは石州半紙(島根)と本美濃紙(岐阜・vol.26)。これで三つともこの連載に登場しました。
細川紙の特徴は強さです。長い楮の繊維を切らずに漉くため、帳簿や商売の台帳に使われました。
高知は修復(vol.17)、福井は大判(vol.30)、三重は型紙(vol.20)。埼玉は、仕事の紙でした。
足袋も、工芸です
行田足袋は、国の伝統的工芸品に指定されています。
行田は江戸時代からの足袋産地で、最盛期には全国の足袋の大半をこの町がつくっていたとされます。
足袋は、足の形に合わせて曲面を縫う仕事です。この縫製技術は、のちに被服産業へとつながっていきました。
兵庫の豊岡(vol.24)でも、杞柳細工がかばん産業になった話を書きました。工芸は、しばしば近代産業の前史です。
よくある質問
Q. 秩父銘仙とはどんな織物ですか。
A. 経糸と緯糸の色が異なることで、見る角度によって色が煌めいて見えるのが特徴です。大正から昭和初期にかけて、普段着として広く着られました。
次号は千葉へ。三大うちわの三つ目です。
参考:埼玉県、さいたま市、行田市、さいたま市岩槻、小川町、東秩父村、文化庁、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:opencontent / David Wiley/CC BY 2.0(Wikimedia Commons)




