
【VILLAGE通信 vol.8】白と黒、二つの焼き物
鹿児島県
宮崎から、大島紬のもうひとつの産地へ。鹿児島には、国指定の伝統的工芸品が3品目あります。本場大島紬、薩摩焼、川辺仏壇。
大島紬は、二度織る
本場大島紬は、30以上の工程を経てつくられます。
特異なのは、染める前と染めた後の両方で織ること。そのため「大島紬は二度織る」と言われます。
染めるために一度織り、それをほどいて、もう一度織る。完成品には現れない作業が、工程の半分を占めているということです。
伝統的な泥染め大島・泥藍大島のほか、色大島や白大島もあります。大島紬村などでは、泥染めや機織りを実際に体験できます。
白薩摩と、黒薩摩
薩摩焼の起源は、薩摩藩主が朝鮮から陶工を連れ帰ったことにあります。
そこから、二つの焼き物が分かれました。
白薩摩は、精緻な絵付けを施したもの。藩主に愛用されました。
黒薩摩は、庶民のための実用的な日用雑器。
同じ土地、同じ窯、同じ技術系統。それが、使う人によって全く違う形になった。
どちらが上でもない
この話を知って、手が止まりました。
つい、白薩摩の方が価値が高いと考えてしまいます。手間もかかっている、見た目も華やかだ。
でも、何百年も使われ続けてきたのは黒の方です。毎日の食事で、毎日の台所で。壊れてはまた買われ、そのたびに窯に火が入った。
産地を支えたのは、高価な一点ではなく、安価な日常でした。
別府竹細工も、湯治客の台所用品から始まりました。波佐見焼も、民藝の器でした。この連載で何度も同じ結論にぶつかります。
川辺仏壇と、伝産マーク
南九州市川辺町でつくられる川辺仏壇は、豪華さと堅牢さを兼ねたことで知られます。この地が仏教と深い歴史的つながりを持つことが、産地の背景にあります。
この3品目には、「伝産マーク」の使用が認められています。「伝」の字と日の丸を組み合わせた、赤いマークです。
店先で見かけたら、それは国が産地と技法を確かめた印だと思ってください。
九州を、一周しました
福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島。七県を回って、見えてきたことがあります。
どの県にも、「日常の道具から始まった工芸」がありました。
美しいものをつくろうとして始まったものは、意外なほど少ない。使いたい人がいて、答える人がいて、それが何百年も続いた結果、後から「工芸」と呼ばれた。
私たちがしていることも、その延長線上にありたいと思っています。
次号は、海を渡って沖縄へ。
参考:鹿児島県庁「鹿児島県の伝統的工芸品」「かごしまの伝統的工芸品」、鹿児島市「伝統的工芸品の指定状況」、鹿児島県公式観光サイト
——Value Village編集部
写真:fitm/CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)




