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金箔を貼る作業

【VILLAGE通信 vol.31】金箔の、98パーセント
石川県

石川県には輪島塗、九谷焼、加賀友禅、山中漆器、金沢箔、牛首紬、金沢仏壇、七尾仏壇など、多くの国指定伝統的工芸品があります。都道府県のなかでも屈指の多さです。

なぜ、これだけ集まったのか。理由はかなりはっきりしています。

金箔の、98パーセント

国内で生産される金箔の98%以上が、金沢でつくられています。

金箔は、1グラムの金を畳一畳ほどの広さまで延ばしたものです。厚さは1万分の1ミリ台。息を吹きかけただけで飛びます。

金沢に集中した理由のひとつは気候だとされます。箔打ちは乾燥に弱く、湿度が高いほうが扱いやすい。日本海側の冬の湿気が、そのまま工程条件になっていました。

この連載では、滋賀の近江上布(vol.21)でも湿度が麻に向いた話を書きました。気候が産業を決める例が、また出てきます。

藩が、工芸に金を出しつづけた

加賀藩は、外様でありながら全国最大級の石高を持っていました。

その藩が、京都や江戸から職人を招き、御細工所という工芸の組織を藩の内部に持っていたことが、石川に工芸が集まった最大の理由です。

滋賀の彦根仏壇(vol.21)は「藩の武具職人が転じた」ものでした。石川は、藩が最初から工芸そのものに投資しています。

目的が違えば、残り方も違う。石川の工芸に華やかなものが多いのは、そもそも大名の調度としてつくられたからです。

輪島塗は、下地で決まる

輪島塗の特徴は、下地に輪島地の粉という地元産の珪藻土の粉を混ぜることです。

これが漆に混ざると、塗膜が厚く、丈夫になります。工程は100を超えるとされ、「割れても直せる」ことを前提につくられた漆器です。

紀州漆器(vol.18)は日常づかいの量で残り、飛騨春慶(vol.26)は木目を見せることで残りました。輪島は「直しながら一生使う」ことで残っています。

ちなみに日本三大漆器と呼ばれるのは会津塗・山中漆器・紀州漆器。山中もまた石川です。山中は木地挽きの技術で知られ、輪島の木地を供給してきた歴史もあります。

九谷の、五つの色

九谷焼は、緑・黄・赤・紫・紺青の五彩で厚く塗り込める色絵磁器です。

この連載で見てきた磁器は、有田(vol.03)、波佐見(vol.04)、砥部(vol.16)、出石(vol.24)。九谷は、そのなかでいちばん色が濃い。

有田が「余白を残す」磁器だとすれば、九谷は「余白を埋める」磁器です。

よくある質問

Q. 金沢箔は食べられますか。
A. 食用金箔として販売されているものは食品衛生法上の食品添加物にあたり、菓子や料理の装飾に使われています。工芸用の箔とは扱いが異なります。

Q. 輪島塗はなぜ高いのですか。
A. 下地から仕上げまでの工程数が非常に多く、それぞれを別の職人が分業で担当するためです。滋賀の彦根仏壇(vol.21)と同じ、分業型の工芸です。

次号は富山へ。銅器の話をします。

参考:石川県、金沢市、輪島市、加賀市、伝統的工芸品産業振興協会

——Value Village編集部

写真:Eckhard Pecher/CC BY 2.5(Wikimedia Commons)