
【VILLAGE通信 vol.33】17品目、布と刃物と桐と
新潟県
新潟県の国指定伝統的工芸品は17品目。東京(23)に次ぎ、京都(17)と並ぶ多さです。
内訳を見ると、大きく三つに分かれます。布、金属、木。
雪が、産業を決めた
新潟の工芸に共通するのは、「冬に屋内でできる、細かい手仕事」だということです。福井の眼鏡(vol.30)、長野の飯山仏壇(vol.28)と、まったく同じ理由です。
雪が多い土地は、半年ちかく農作業ができません。その時間が、そのまま産業になりました。
ユネスコに載った、麻の布
小千谷縮と越後上布は、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
特徴は「雪さらし」。織り上げた布を早春の雪の上に広げ、日光と雪の反射で自然に白くする工程です。
長野の内山紙(vol.28)にも同じ「雪ざらし」がありました。雪国では、雪そのものが漂白の道具です。
そして麻。滋賀の近江上布(vol.21)は湿度が麻に向いた土地でした。越後も、同じ理由で麻の産地です。
ほかに塩沢紬、本塩沢、十日町絣、十日町明石ちぢみ、羽越しな布。織物だけで数えると、新潟は沖縄に次いで多い。
燕と三条、二つの町
金属では越後三条打刃物、越後与板打刃物、燕鎚起銅器があります。
燕三条は、いまは金属洋食器と金属加工の集積地として世界に知られます。
始まりは江戸初期。信濃川の氾濫で農業が安定しなかったため、副業として和釘づくりを奨励したのがきっかけとされます。
和釘 → 鍬・鎌 → 包丁・鋏 → 洋食器 → 金属加工全般。作るものを変えながら、四百年ずっと金属を叩いています。
燕鎚起銅器は、一枚の銅板を金鎚で叩いて、継ぎ目なしに器の形にする技術です。溶接も接合もしない。
富山の高岡銅器(vol.32)は溶かして型に流す(鋳造)。燕は叩いて延ばす(鍛金)。同じ銅でも、まったく別の技術です。
桐と、堆朱
加茂桐箪笥は、桐箪笥の産地として全国的に知られます。和歌山の紀州箪笥(vol.18)、大阪泉州桐箪笥(vol.23)に続いて、また桐箪笥です。
村上木彫堆朱は、木を彫ってから漆を塗り重ね、彫りの陰影を残す技法。佐渡無名異焼は、佐渡金山から出る酸化鉄を含んだ土を使う焼き物です。
金を掘ったあとの土で、器を焼いている。この連載でも、かなり珍しい成り立ちです。
よくある質問
Q. 「縮(ちぢみ)」とは何ですか。
A. 強い撚りをかけた糸で織り、仕上げに湯もみをすることで表面に細かいシボ(凹凸)を出した布です。肌に触れる面積が減るため、夏の着物地として使われてきました。
次号は東京へ。23品目、日本でいちばん多い都道府県です。
参考:新潟県、小千谷市、十日町市、燕市、三条市、加茂市、村上市、佐渡市、文化庁、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:eiko_eiko/CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)




