
【VILLAGE通信 vol.38】ユネスコに載った、紬
茨城県
茨城県の国指定は結城紬、笠間焼、真壁石燈籠の3品目です。
三つの条件
結城紬は、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
登録の対象になるには、三つの条件をすべて満たす必要があります。糸は手つむぎ、模様は手くびり、織りはいざり機。
手つむぎは、真綿(繭を広げたもの)から指で糸を引き出す方法です。撚りをかけないので、糸に空気が含まれます。結城紬が軽くて暖かいのは、このせいです。
手くびりは、染めたくない部分を糸で縛っておく作業。細かい絣模様では、一反で何万回という単位になります。
いざり機は、地面に座って、自分の腰で経糸を張る機です。体で張力を調節するので、糸に無理がかかりません。
三つとも、「機械にできないから手でやっている」のではなく、「手でやると違うものになる」から残っています。
新潟の小千谷縮(vol.33)、岐阜の本美濃紙(vol.26)、埼玉の細川紙(vol.36)に続いて、ユネスコに登録された工芸が、またひとつ加わりました。
真っ白な土を、使わない
笠間焼の土は、鉄分を多く含む粘土です。
この連載で見てきた磁器の産地——有田(vol.03)、砥部(vol.16)、出石(vol.24)——は、いずれも白さを目指していました。
笠間は、逆をやっています。土の色を残し、厚い釉をかけて、使っているうちに味が出ることを良しとする。
笠間には「これが笠間焼だ」という厳密な様式がありません。だから、外から来た若い作家が入りやすい。これが、いまも作家の多い産地であり続けている理由だと言われます。
岐阜の美濃焼(vol.26)も「様式を持たないこと」で広がりました。形を決めないことが、ときに強さになります。
石の、燈籠
真壁石燈籠は、桜川市真壁地区で採れる花崗岩を使った石工芸です。
島根の出雲石燈ろう(vol.12)、京都の京石工芸品(vol.22)に続いて、また石の工芸です。
石燈籠は、もともと寺社の灯だったものが、茶の湯の普及で庭の飾りになりました。
用途が変わると、形が変わる。この連載で何度も見てきた動きです。
よくある質問
Q. 結城紬は茨城と栃木のどちらですか。
A. 両方です。産地は鬼怒川をはさんで茨城県結城市と栃木県小山市にまたがっており、どちらの県でも国指定の産地とされています。
次号は栃木へ。
参考:茨城県、結城市、笠間市、桜川市、文化庁、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




