
【VILLAGE通信 vol.44】鉄瓶が、海を渡っている
岩手県
岩手県の国指定は南部鉄器、岩谷堂箪笥、秀衡塗、浄法寺塗の4品目です。
鉄瓶が、海外の台所にある
南部鉄器は、盛岡と奥州市水沢を中心につくられる鉄の鋳物です。
富山の高岡銅器(vol.32)が仏具や銅像だったのに対し、南部は日用品です。鉄瓶、鉄鍋、風鈴。
この産地の珍しいところは、国内より先に海外で人気が高まった場面があったことです。フランスや欧州の茶の店で、色をつけた鉄瓶がティーポットとして使われました。
鉄は、湯を沸かしても味を変えにくいとされます。そして、正しく使えば何十年ももちます。
高知の土佐和紙(vol.17)と同じです。長くもつこと自体が、輸出の理由になる。
国産漆の、主要な産地
浄法寺塗は、二戸市浄法寺地区の漆器です。
ただ、この地域が重要なのは器だけではありません。
日本で使われる漆の大半は輸入品です。そのなかで、国産漆の主要な採取地がこの浄法寺です。
国宝や重要文化財の建造物を修理するとき、国産の漆を使う方針がとられており、漆掻き職人が幹に傷をつけて採った樹液が、日光や京都の建物に使われています。
高知の土佐和紙は、文化財の修復紙として世界中で使われていました。
紙は高知、漆は岩手。日本の古い建物と美術品は、この二つの産地に支えられています。
これは、店先に並ばない種類の仕事です。
金具を、見せる箪笥
岩谷堂箪笥は、ケヤキやキリの木地に漆を塗り、大きな手彫りの金具をつけます。
宮城の仙台箪笥(vol.42)とよく似ています。東北の箪笥は、金具を見せるものが多い。
秀衡塗は、平泉の藤原秀衡の名をとる漆器で、雲の形の「源氏雲」と、金箔を菱形に切って並べる「有職菱」という文様が特徴です。
金箔は、石川(vol.31)で見たとおり国内の98%以上が金沢産です。岩手の漆と、石川の箔で、ひとつの器ができています。
よくある質問
Q. 鉄瓶で沸かしたお湯は鉄分がとれますか。
A. 鉄器からは微量の鉄が溶け出るとされますが、量は製品や使い方によって大きく異なります。健康上の効果を目的とするものではないため、ここでは断定しないでおきます。なお、内面にホーロー加工をした鉄瓶や、急須タイプの製品は条件が異なります。
次号は秋田へ。桜の皮の話です。
参考:岩手県、盛岡市、奥州市、二戸市、平泉町、文化庁、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




