
【VILLAGE通信 vol.45】桜の皮で、器をつくる
秋田県
秋田県の国指定は樺細工、川連漆器、大館曲げわっぱ、秋田杉桶樽の4品目です。四つとも、木か樹皮の仕事です。
「樺」は、桜のこと
樺細工の「樺」は、カバノキではなくヤマザクラの樹皮を指します。この皮を薄く剥ぎ、磨き、木地に貼りつける。
桜の皮は、磨くほど深い艶が出ます。そして湿気を通しにくい。茶筒に向いているのはこのためです。
木を伐らずに皮だけを剥ぎ、木は生かしておく。皮は年月をかけて再生します。
始まりは18世紀後半。角館の佐竹北家が、下級武士の内職として広めたとされます。
前号の山形(vol.43)で、天童将棋駒が武士の内職から始まった話を書きました。東北の小さな藩は、武士に手仕事をさせることで持ちこたえていました。
秋田杉を、曲げる
大館曲げわっぱは、秋田杉の柾目の板を煮て柔らかくし、円く曲げてつくります。
そして、合わせ目を縫い止めるのに使うのがヤマザクラの皮です。
樺細工と曲げわっぱは、同じ材料でつながっています。徳島の藍(vol.15)が三つの工芸を生んだのと、同じ構造です。
杉は軽く、香りがあり、余分な水分を吸います。だから、ごはんが冷めてもかたくなりにくい。弁当箱として使われてきた理由です。
桶と樽は、別のもの
秋田杉桶樽は、杉の板を並べ、箍(たが)で外側から締めてつくる大型の容器です。箍には竹や金属が使われます。
桶は上が開いていて手がつくもの、樽は蓋ができるもの。酒、味噌、醤油、漬物——発酵を支えてきた道具です。
秋田杉は、目がまっすぐで、香りの成分がカビに強いとされます。発酵食品の容器に選ばれてきたのは、偶然ではありません。
漆は、日常のもの
川連漆器は、湯沢市川連地区の漆器です。
特徴は下地を厚くし、塗りを重ねて、何度も使えるようにすること。石川の輪島塗(vol.31)と同じ考え方ですが、川連はもっと安く、普段使いにという方向で発展しました。
和歌山の紀州漆器(vol.18)と同じ側です。漆器は、高級品の列と、日常品の列の両方で残っています。
よくある質問
Q. 樺細工の茶筒は手入れが必要ですか。
A. 基本的には乾いた布で拭くだけです。水洗いや漬け置き、直射日光は避けます。使ううちに手の脂がなじんで、艶が増していきます。
次号は青森へ。たった1品目、しかし工程は数十という話です。
参考:秋田県、仙北市角館、大館市、湯沢市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Kayopos/CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)




