
【VILLAGE通信 vol.46】たった1品目、しかし48工程
青森県
青森県の国指定伝統的工芸品は、津軽塗の1品目だけです。
この連載では、東京23品目(vol.34)、京都17品目(vol.22)、新潟17品目(vol.33)を見てきました。
1という数字は、この連載でもっとも少ない。
だが、工程は四十を超える
津軽塗は、塗っては研ぎ、また塗っては研ぐことを繰り返します。工程は四十を超え、完成までに数ヶ月を要します。
あまりに手間がかかるので、地元では「馬鹿塗り」とも呼ばれます。これは悪口ではなく、むしろ誉め言葉として使われてきました。
代表的な技法は四つです。
- 唐塗――穴のあいたへらで漆を点々と置き、上から別の色を重ねて研ぎ出す。斑模様になる
- 七々子塗――菜種をまいて小さな輪をつくる
- 紋紗塗――黒の上に炭をまき、模様の部分だけを光らせる
- 錦塗――七々子の上にさらに文様を描く
四つとも、共通しているのは「研ぎ出す」ことです。
塗って完成するのではなく、重ねてから削って、下の層を見えるようにする。模様のつくり方が、他の漆器と根本的に違います。
三つの漆器と、並べてみる
この連載で、漆器の考え方は大きく三つに分かれました。
- 木目を見せる――飛騨春慶(vol.26)、小田原漆器(vol.35)
- 木目を隠して丈夫にする――輪島塗(vol.31)、川連漆器(vol.45)
- 層を重ねて、削って模様にする――津軽塗
鎌倉彫(vol.35)や村上木彫堆朱(vol.33)は、中国の彫漆を「先に木を彫る」形に置き換えたものでした。
津軽塗は、その置き換えをしなかった。手間を減らす代わりに、手間をかけること自体を価値にしています。
1品目でも、十分なのか
高知(vol.17)は2品目でしたが、そのひとつが世界中の文化財を直していました。
和歌山(vol.18)は3品目でしたが、日本の梅の6割をつくっていました。
青森は1品目です。そして、そのひとつに四十以上の工程があります。
数え方を変えれば、これは少ない数ではありません。
なお、青森には国の指定は受けていないものの、八幡馬やこぎん刺しなど、地域に根づいた手仕事が多く残っています。指定の数と、土地の手の多さは別のものです。
よくある質問
Q. 津軽塗は食洗機を使えますか。
A. 一般に、天然漆の器は食洗機と電子レンジを避けるのが基本です。レンジの熱や高温の乾燥で塗膜が傷むためです。ぬるま湯で洗い、すぐに拭くのが長く使うコツです。
次号で、この旅は最後です。北海道へ向かいます。
参考:青森県、弘前市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




