
【VILLAGE通信 vol.47】最後の村は、アイヌの手仕事
北海道
47番目です。北海道の国指定は二風谷イタと二風谷アットゥシの2品目です。
どちらも、平取町二風谷を中心に伝えられてきたアイヌの工芸です。2013年に国の伝統的工芸品に指定されました。
木の皮で、布を織る
アットゥシは、オヒョウ(ニレ科の木)の内皮の繊維で織った布です。
木を倒し、皮をむき、沼や温泉につけて層をはがし、細く裂いて糸にする。一枚の布になるまでに、何ヶ月もかかります。
この連載で、樹皮や草の繊維を使う布を何度か見てきました。
- 羽越しな布(山形・新潟)――シナノキの樹皮
- 奥会津昭和からむし織(福島)――苧麻
- 芭蕉布(沖縄・vol.09)――芭蕉
- アットゥシ(北海道)――オヒョウの樹皮
日本列島の北の端と南の端で、同じことをやっています。綿も絹もない場所で、人は木と草から布をつくってきました。
盆に、意味のある文様
イタは、アイヌ語で「盆」を意味します。カツラやクルミの板を彫ってつくります。
彫られる文様には名前があります。
- モレウ――渦巻き
- アイウシ――とがった形
- ラムラムノカ――ウロコの形
これらは飾りであると同時に、意味を持つ形です。伝統的に、彫るのは男性、織るのは女性の仕事とされてきました。
愛知の有松絞(vol.25)や香川のうちわ(vol.14)は、売るためにつくられたものでした。
イタとアットゥシは、もともと自分たちが使うためのものでした。商品として始まっていない。
これは、この連載で見てきたほとんどの工芸と違う出発点です。
47を、回りました
山口から始まって、北海道で終わりました。
書きながら、何度も同じことを思いました。
強い産地には、共通の公式がありません。
- 量で勝った場所(香川のうちわ、9割)
- 代替のきかない用途を取った場所(高知の和紙)
- 難しいことをやった場所(福井のチタン)
- 何でもつくれることを選んだ場所(岐阜の美濃焼)
- 手間をかけること自体を価値にした場所(青森の津軽塗)
- 自分たちのためにつくり続けた場所(北海道の二風谷)
どれかひとつを正解にする必要は、なさそうです。
もうひとつ。どの県でも、残っているものは誰かがやめなかったから残っています。制度が守ったのではなく、人が続けた。指定はあとからついてきた記録です。
Value Villageがこの連載を始めたのは、商品を売るためではありません。自分たちがどこにいるのかを知るためです。
旅はここで一周しましたが、終わりではありません。次は、それぞれの県の特産品・お土産・食べもの・訪ねる場所へと入っていきます。
参考:北海道、平取町、公益財団法人アイヌ民族文化財団、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部




