VILLAGE通信 vol.5 秋田県
大館曲げわっぱ、全国の曲げ物で唯一という位置
弁当箱の話から始めます。木でできた、あの丸いものです。
大館市や東北経済産業局の資料によれば、大館曲げわっぱが国の伝統的工芸品に指定されたのは1980年(昭和55年)10月16日。当時、全国に15あった曲げ物のなかで、指定を受けたのはこれひとつでした。
つくり方が、素材を選ぶ
工程はおおよそ、こうです。
- 樹齢200年前後の天然秋田杉を、薄く柾目(まさめ)に取る
- 煎沸して、木がやわらかくなったところで曲げ、輪にする
- 合わせ目を山桜の樹皮で縫い留める
「薄く曲げる」という一点のために、まっすぐで目の詰んだ木が要ります。だから樹齢200年という数字が出てくる。つくり方が素材を選び、素材が産地を決める。工芸品の産地が動かせない理由が、ここにあります。
曲げわっぱが弁当箱として選ばれ続けるのは、杉が余分な水分を抱えてくれるからだと言われます。道具としての理屈が、そのまま姿の美しさにつながっている。うまくできた工芸品には、だいたいこの一致があります。
前回は宮城県の宮城伝統こけしでした。次回は山形県、将棋駒の町へ。
参考:東北経済産業局、大館市
——Value Village編集部